総称解釈におけるa Nとevery Nは、全ての個体に分配的に述語が適用される解釈を受ける点で共通しており、従来の枠組みでは意味の違いを捉えることができない。本発表では、a N総称では個体差が捨象されるのに対し、every N総称では個体の違いが念頭に置かれているという意味の違いを捉えることを目標とした。まず、名詞句解釈の分析に必要な指標として、「状況」を階層的に四分類し、a Nは量化される指標に応じて四レベルで自由に解釈されるのに対し、every Nのような量化名詞句は具体的個体に対応する固定されたレベルでしか解釈されないという仮説を立てた。四指標には量化に関して前提関係が成立することから、a N総称文では、個体に対応する指標の量化が前提とされるため、個体差の捨象が起きるのに対し、every N総称文では、everyにより明示的に個体が量化されるため、個体の量化が前提とされず、個体差の捨象が起きないことを論じた。