本発表の目的は、サルデーニャ語におけるスペイン語からの借用語の相対的年代を決定することである。
借用時期の相対的年代を決定するための手段として、スペイン語内部で生じた通時的子音変化、「古期スペイン語 ts、dz > 現代スペイン語 θ 」と「古期スペイン語 ∫、ʒ > 現代スペイン語 x」を用いる。
本発表では結論として、古期スペイン語 ts、dz はそれぞれ ts、z で、現代スペイン語 θ は ss でサルデーニャ語に借入されたと考えて、借用時期の相対的年代を決定する。また、本発表の主張は、古期スペイン語 ts が ss で借入され、現代スペイン語 θ が ts で借入されると考える先行研究とは異なることを、具体例とともに示す。さらに、古期スペイン語 ʒ の借入方法に関して、方言間に相違が見られることについても考察する。