コーパスを用いた「が/の」交替に関する定量的分析

南部 智史(神戸松蔭女子学院大学大学院)

本発表では「が/の」交替における言語変化とその交替に影響を与える要因について調査するため、国会会議録をコーパスとして用いた定量的分析を行った。データを東京出身の国会議員の発話に限定して調査を行い、データ中の格助詞「が」と格助詞「の」の生起率に基づいて議論を行った。その結果、名詞修飾節内等で次第に「が」が「の」よりもより多く用いられるようになってきているという言語変化が起きていることがわかった。

さらに、「が/の」交替に影響を与える言語要因を割り出すことを試みた。その結果、言語内的要因として隣接性、状態性、他動性制約などが交替に影響を与えていることを突き止めた。有生性に関しては、純粋に「が/の」交替に対して影響を与えている要因ではなく、「が/の」で標示された名詞句の形式差が交替の割合に関係することが判明した。